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歯科医療の本質 田中久敏教授の教え



お元気ですか。雅です。

well-being な 歯科医師です。

 

歯科医療で最も難しいのは、歯が抜けた場所に
元通りに戻す、総入れ歯の治療だと思います。

 

歯科補綴(ほてつ)学 Prosthodontics
と呼ばれる学問です。入れ歯は義歯と呼びます。

口で言うのは簡単ですが、手を使って結果を
出す必要があるから大変です。

 

私が、歯学部6年生の頃、臨床実習がありました。
最も厳しい講座は、歯科補綴学第一講座でした。

その主任教授が、故・田中久敏先生です。
良くかめる、美しい義歯治療を魅せてくれました。

いつしか、その魅力に取りつかれ、この先生の元で
学ぶことを決意しました。

 

大学を卒業し、国試が合格して歯科医師となり、
歯科補綴学第一講座の大学院に進学しました。



臨床・教育・研究の毎日で、早く技術を磨いて
義歯の上手な歯科医師になりたいと思う毎日です。

しかし、現実はそう甘い物ではありませんでした。
毎日、田中教授の臨床見学と研究ばかりです。

講義のアシスト、実習の準備、学生の指導、
先輩の手伝い、石膏注ぎ、基礎実習模型の作製。

朝早くから、深夜未明まで、毎日容赦なく時間が
過ぎて行きます。帰りは日付が変わっております。

翌朝8時15分には、田中久敏教授が大学に来ます。
教授室の前で「立ちん坊」が日課になりました。

私だけで無く、何人もの先輩が次々に教授室に
ご挨拶です。皆、緊張した表情です。

「あれは、どうなった?」が、田中教授の口癖で、
「あれ?」を間違えると、大変なことになります。

毎週土曜日の朝は、新人セミナーがありました。
義歯に関する英語文献の和訳です。

英語のできない人間は大変です。
全単語を辞書で調べるだけで、朝になります。

金曜日から土曜日にかけて、2年目まで徹夜です。
ワープロで全和訳を入力するだけで精一杯です。

「そうじゃない」と言われることもしばしばです。
なんと田中先生は、アメリカ留学経験者でした。

毎日、英文献を読んだり、日本の文献を読んだり
するのが、とても遠回りだと感じておりました。



大学院4年生になった頃、教授の考えが手に取る
ように分かるようになりました。

歯科医療の本質を追求して行くと、
教授とベクトルが合うようになりました。

それはもう「歯科補綴(ほてつ)学」が楽しくて
楽しくて、しょうがなくなりました。

一見、遠回りな人生であっても、今になると
茨の道が、黄金の道であったように思います。



歯科医師は楽しい…と気づきを与えてくださった
田中久敏先生に、心より感謝申し上げます。

先生はご逝去されましたが、その魂が私の心中に
今でも脈々と、残っております。

well-being !!

医療法人百成会
ちば歯科医院 千葉雅之

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